あなたには聞こえますか…………
「そういえばさ! 花梨が来た時あ

るやん? ここにはじめて来た時な?」



「なにー! いきなり!」



「あの時、俺が住んでたマンションを花

梨に渡しただろ? あれから行ってないな

ぁって……長くさ! アハハ……」



「そっかぁ……」



「まぁ……行かないのに慣れてしまったん

だよな、きっと。慣れって怖いなぁ。

それが普通になってしまったしなぁ」



「何を言い出すかと思えば……」



「部屋は相変わらず? ずっと長く入っ

てないから、忘れちゃったよ。どんな部

屋だったかー」



「ん……まぁ。そんな感じだよー」



「花梨も成人になったし、久し振りに行

ってもいいんだけどね。ていうか、ここ

に花梨も住めばいいんよ。

その方が俺も安心だしね!」



「あはっ。もうそんな感じじゃん。

最近ずっとここにいるし!」



「まぁ、それもそうだけどさ」




雪は最近、話せてなかった会話を楽しそ

うに続けていた。



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