あなたには聞こえますか…………
「この部屋は何もないけど、景色がいい

んよね。夜はイルミネーションの綺麗な

観覧車も見えるから」



「観覧車かぁ。一度も雪さんと乗らなか

ったなぁ……」



「最近見てへんけど、今は動いてないの

かな。こんな時代になっちゃったし、営

業を止めてたりするのかな?」



「最近、そういえばイルミネーション消

えてるね……」



「そっかぁ……やっぱり観覧車も営業しな

くなってるんだな……

でも、また光り出す時が来るよ!

こんなおかしな時代が、ずっと続くわけ

がないんだからさ。

事件も解決して、また前みたいな世界に

戻ったら一緒に乗ろうな! 観覧車!」




この時も雪は、

ずっと花梨さえいれば、

花梨さえ無事ならそれでいいと、考え続

けていたのだ。

そして、早く事件解決を希望し、前のよ

うな不安無き世界で、花梨との未来を歩

んで行きたいと願い続けていた。








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