あなたには聞こえますか…………
「隠しても分かっちゃうよ。雪さん」



「でもなぜ? なぜわかったんやよ?」



「それはいいよ……」



「ごめんな。でも花梨にそれを話せば

悲しいこと思い出すと思ったから……」



「大丈夫だよ。ありがとう、雪さん。

その気遣いが嬉しいから」



「俺は、初めてあの人と会ったのもあっ

て、あまり長くも話してはないんだけど

ね……

あの人は、俺に会うのは初めてでも無さ

そうな、言い回し方をしてたけど……」



「きっとどこかで隠れて雪さんを、見て

いたんじゃない?

そういう性格だから、コソコソと影で動

くさ……

話したら分かったと思うけど、心悲しい

人だったでしょ」



「ん……なんていうか」



「いいよ。言ってくれて」



花梨は、母親に対する気持ちをゆっくり

と話し出した。




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