あなたには聞こえますか…………
2月3日10:33


チャイムを義信は押していた。


玄関から出てきた花梨の元母親の顔は

怒りに歪んでいた。



「何度言えばわかるんですか……?

あなたは?」


「すみません。度々」


「すみません。じゃないですよ!

本当にやめてくれませんか」



「いやね、あなたが隠してる事が気にな

りましてね。娘さんの居場所の件です


今回の一連の事件には、あなたもご存じ

のように【音】が関連してます。

事件解決の為にもどうしても、秀美さん

の研究が事件解決の糸口には、必要なん

です。

秀美さん亡き今は、娘さんがなにか少し

でも、その研究について気づいた事を

お聞きしたくて。

お願いします」




もうこれ以上は訪ねても門前払いだろう。

最後の賭けに義信は出ていた。




「娘とはあれ以来会ってません。

ただ……あなたが言う、

居場所は分かりませんが、面倒を見てく

れていた方は以前、私の知人から

聞きました。狭い街ですからここは」


< 315 / 397 >

この作品をシェア

pagetop