あなたには聞こえますか…………
立派な住宅の中では、

母親の雅代が、いろいろと準備に追われ

ている。


悲しそうな目をしたかと思うと、

それを払い去るように、いまの幸せな

現状を考え出していた。



「まぁでも、行かないとね。

今年ももうすぐだしね。」


呟くと、雅代は再婚相手がいる居間に

向かって行った。



明るい表情を作りながら。



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