あなたには聞こえますか…………
「もしもし? 花梨。なにもないか、大

丈夫か?」



雪は花梨に電話をしていた。

あの警官なら何か解れば約束などお構い

なしに、すぐにでも花梨の元へと行きそ

うだったからだ。



「ん。大丈夫だよ、雪さん! でも、ま

た何かあったの?」



「ん。いや、花梨が心配で。

こんなめちゃくちゃな時代だから……」



「雪さん。ありがとう。

大丈夫だよ。

うち……何も出来なくてごめんね……

料理や買い物も、彼女らしいこと

何一つ出来なくなってしまって……」



「そんなのいいよ。

花梨が元気ならそれでいいんやから!

無事ならそれでいいんやから……」



花梨は電話を切ったあと、淋しい表情で

呟いていた。



「雪さん、ありがとう……」

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