あなたには聞こえますか…………
雪が通り去ったあと、大家は以前の記憶
を呼び戻していた。
雪が花梨を連れて初めて大家に挨拶に来
たときを。
「すみません! 亀城ですが、大家さん
いてますかー?」
「亀城くんどうしたの?」
「いてた! よかったー! えっと……
俺ね、このマンションから、引っ越そう
と思って」
「引っ越すの? 寂しくなるわね……
亀城くんがいてくれて、万が一災害があ
ったときも安心だなって思ってたのに」
「あー。でも俺が違うマンションに行く
だけで、この子をあの部屋に住ますので
契約はそのままでお願いします!
それを言いにきたんです。すみません。
勝手なお願いで」
「亀城くんのお願いなら、大丈夫だけど
その子はいったい……?」
「ほら、大家さんに挨拶して」
「星田 花梨です……」
「はじめまして。花梨ちゃんって言うの
ね。
亀城くん、この子は?」
「えっと……話せば長くなるんですけど、
俺と同じように親を亡くしてしまって。
住む場所がなくて……
家賃は俺が今までと同じようにきちんと
必ずしますから。お願いします!」
を呼び戻していた。
雪が花梨を連れて初めて大家に挨拶に来
たときを。
「すみません! 亀城ですが、大家さん
いてますかー?」
「亀城くんどうしたの?」
「いてた! よかったー! えっと……
俺ね、このマンションから、引っ越そう
と思って」
「引っ越すの? 寂しくなるわね……
亀城くんがいてくれて、万が一災害があ
ったときも安心だなって思ってたのに」
「あー。でも俺が違うマンションに行く
だけで、この子をあの部屋に住ますので
契約はそのままでお願いします!
それを言いにきたんです。すみません。
勝手なお願いで」
「亀城くんのお願いなら、大丈夫だけど
その子はいったい……?」
「ほら、大家さんに挨拶して」
「星田 花梨です……」
「はじめまして。花梨ちゃんって言うの
ね。
亀城くん、この子は?」
「えっと……話せば長くなるんですけど、
俺と同じように親を亡くしてしまって。
住む場所がなくて……
家賃は俺が今までと同じようにきちんと
必ずしますから。お願いします!」