あなたには聞こえますか…………
花梨とのショッピングは雪にとって、普

段の緊迫した空気を忘れさせ、とても安

らぐ時間になっている。



そして、すれ違う人々は雪の顔を通りす

がりによく振り返っていたのだ。




「花梨。俺らって、道行く人からよく振

り返られるよなー!

みんな、花梨が可愛いから見てるんだよ

きっと!

スタイルもいいし、小顔の中の目もクリ

クリして可愛いからさ。

焼きもち妬いてまうわ!」



「あはは……なにそれ。

そんなに褒めなくても……

それに……そんなわけないよ……

うちを見てるんじゃないから」



「いやー! そうに決まってる!

こういう彼女を持って、俺はめっちゃ幸

せ者だわー!」



「もう! 雪さんはぁ!」



はしゃぐ雪を横目に見ながら、花梨は

うつ向きながら優しく微笑んでいた。

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