あなたには聞こえますか…………
そんなことには、全く気付かずに家路を

急ぐ雪の姿があった。



帰宅途中には、商店街がある。

まだ人通りの少ない時間ではあるが、通

りの両サイドに軒並み並ぶ店は、既にシ

ャッターを開け営業を開始している。

その一件の小さな店先に、可愛らしい洋

服たちが並んでいる光景が、雪の目に止

まっていた。



疲れはあるものの、その服を着ている彼

女の姿を想像し、sizeを調べだしている

雪の姿。



「似合うだろうなぁ、買って帰ろうかな

ぁ! でも、女性のsizeって難しいんだ

よなぁ……

まぁいいや。 また今度一緒に来ればい

いか……

次のデートの楽しみもこれで1つ増えた

しな。きっと喜ぶだろうなぁ!」



雪はブツブツ呟きながら、また家まであ

とすこしの道を歩き出していた。



どんなに疲れていても、いつも彼女の

事が気にかかり、その姿を思い浮かべ

ているのだ。

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