あなたには聞こえますか…………
「あなた……には……

きこえ……ますか……

ためして……あげる……」



「なになになに? きもっ!」



「ため……して。あげる……」



「なによこれ! 早く電話切ってよ!

気持ち悪いから!」



姉の美奈子がそう叫んだとき、スピーカ

ーには電子音のような音が鳴り響いてい

た。





【ジィィィィィィィィイイイイイ、ジィィィィィィィィイイイイイ】







「ちょっと……なによこれ……

頭いたい……

吐き気する…………」



「お……い……

なんだ……この音…………

くら……くらするぞ……」



食卓には温かい料理と、四人がそのまま

の座った姿でピクリとも動かなくなって

いる光景が、写し出されていた。





「お前……もか……

しょせん……そうだよね……

人間なんか……

そんな……もん……


あははははははははははは……


こんなの……まだただの……

実験だよ……」





電話の声はそれを最後にプツリと切れて

いた。

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