あなたには聞こえますか…………
「おい? お前誰やねん!」



電話の相手を浮気相手だと思っている尚

哉がいきなり叫びだしていた。



「…………」



「無言かよ。なんか言えや! お前だろ浮

気相手は!」



「ちょっとやめてよ。違うって言ってる

でしょ?」



みほは、旦那のバカらしさにうんざりし

ていた。



「あなた……には……

き……こえ……ますか……

ため……して。あげる……」




「はぁ?  誰やお前? 何を言ってるん

だか」



「ためして……あげるから……」



「なにこれ?  誰よこれ。こんな声しら

ないわよ? 友達でもないのだけど……」



「気持ち悪いな。誰やねんこれ」



「聞き……なさい……あなたの……

本音は……何色……」




【ジィィィィィィィィイイイイイ、ジィィィィィィィィイイイイイ】

【ジィィィィィィィィイイイイイ、ジィィィィィィィィイイイイイ】





< 59 / 397 >

この作品をシェア

pagetop