fingertip
私は、勢いのまま
上履きで体育館裏へ走っていく。


太陽くんも追いかけてくる。


太陽くんは、陸上部だからすごく速い。




「おいっ!」




太陽くんの声が近づいてきた。




ガシッ。



体育館裏で、太陽くんに手を掴まれた。




「はぁはぁ・・・」




「・・・はぁ、はえーよ古谷」




太陽くんは、膝に手を置いて息を吸ったり吐いたりしている。


私は、太陽くんの少し離れた所で呼吸を整えた。




「・・・なんで」




呼吸が整った私は、聞き取れない位小さな声で言った。




「えっ何?」




太陽くんは、こっちを向いた。

到底、太陽くんには聞こえない。




「・・・なんでっ大声で言ったのよ‼︎」




私は、太陽くんの目を見てはっきりと言った。


・・・でも、その場から立ち去らないのは、なぜだろう。


太陽くんは、下を向いた。

太陽くんの額には、じんわりと汗が流れていた。


・・・そんなに必死に追いかけて来てくれたんだ。




「そっ・・・それは」




言いにくそうな太陽くんを見て




「ただの嫌がらせでしょ・・・っ」




なんて言った。




「お前、いつも1人だったじゃん」
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