fingertip
声がした方を向くと
クラスのリーダー的存在の
市川彩とその友達が3人ほど
私の机の斜め右前の机の周りに
座っていた。

市川彩は、私に暗いというレッテルを
つけた人。


4人は、こっちを向いていた。



「ええっと・・・なんだっけ。あっ
古谷さん」



市川彩は、私に向かってそう言った。






「消しゴム飛んじゃったから、とってくれる?」



私の心には、少なくとも”期待”という
ものがあった。
それは、友達ができるっていう・・・。

でも、いつも期待ははずれて。

私は、言われた通りに私の足下にあった
ピンクの消しゴムを取り、市川彩が差し出してきた手の上に消しゴムを乗せた。


あっ・・・。


市川彩と指先が触れた。



『なんだろうね、あの転校生。半年もたつのに全く馴染んでないし。暗くて迷惑なんだけど!』



脳内に言葉がよぎる。

これが・・・市川彩の気持ち・・・。


じわ・・・っと目に涙がたまる。

私、なんも変わってないじゃん。


人に迷惑をかけないように
なんて過ごしてきたけど
実際、迷惑かけてんじゃん。


私ってなんなの?

どうすればいいの?

分かんないよ・・・。
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