ベランダ越しの片想い
ねぇ、アキ。
ずっとずっと、一緒にいたわよね。
君が清水さんに恋をして、遠くなったことも、あったわよね。
それでもそばにいれて、幼馴染でよかったなぁって。
そう思えるくらい、君を想っているの。
わたしがいつも通りの無表情に戻っても尚、アキの視線の柔らかさも、わたしの胸の暖かさも変わらない。
ふわふわ、ほかほか。
だからきっとね、大丈夫。
そうして今日も彼は、
「そういえば、俺、咲歩にまだ言ってなかったよな」
「なにを」
「好き」
「それは、この前も、き、聞いた」
「ははっ、うん。だからさ、咲歩。
俺と付き合って」
近くて遠いベランダを乗り越えて、わたしを笑顔にしてくれる。
fin.