ベランダ越しの片想い
そうして、あの約一メートルの距離のベランダが越えられない壁になった。
それはとても苦しいことだったけれど、彼が幸せならいいと。
ただそれだけで、わたしは笑顔を浮かべることができていたのに。
突然、アキは清水さんにふられた。
ふたりが別れてしまえばいいと思ったことも確かにあったのに、実際になってみると苦しいばかり。
なにもいいことなんてない。
傷につけこむようなことはしたくないし、この際わたしとアキが付き合えるかどうかなんてどうでもいい。
君がもう一度、心からの幸せを感じれるように。
恋が、できるように。
ただそのためにわたしはまた、アキのそばにいる。