【短】私の意地見せてやるっ!
若干駆け足で、
階段を駆けおりると、
案の定、足を引っかけてしまった。
「きゃっ…」
体が傾き、小さく悲鳴をあげる。
だけど、
そのまま落ちていくんじゃなくて、
傾いたまま止まった。
「瑠奈ちゃん?
なんで、そんなに急いでるの?」
その声に反応して、
階段から落ちそうになったときより
びっくりしてしまった。
「…ありがとうございます?」
「何故に疑問文。」
ユウさんは、呆れたように笑った。
「あ、そうだ。
一緒に帰ろうか。」
ニコッと笑って言うユウさん。
外見だけみれば、誰もが
惚れてしまうかもしれないが、
生憎、私は別だ。
「…嫌です。」
だけど、ユウさんは、
私の言葉を無視して、
私の手を強引に握り歩きだした。
…私は、惚れませんから。