多泣多笑。
「拓夢~、お前また居眠りか~?」
名を呼ばれ、ゆっくりと顔を上げる。
・・・背景が『ほわわわ~ん』ってなってる。
拓夢は、あれ?と思いながら、答えた。
ん~・・・・違う?
「訊くな」
・・・あれ?
「どうした?」
俺引っ越したんじゃなかったっけ?
「何言ってんだよ。俺、お前が引っ越したなんて話聞いてねぇよ」
ん~・・・じゃあ、夢だったんだな。
「夢ってのは、覚めるまで妙に現実味があるからなぁ」
覚めたら、なんでこれがこうなんだよ!!って思うときあるけどな。
「そうだな」
・・・・俺さぁ。
「なんだ?」
壬生川ってとこに引っ越す夢見た。
「・・・実際あるぞ、壬生川って地域」
え゛っ・・・マジ?
「マジマジ」
・・・俺、こっちが夢なんじゃないかって思ってきた。
「かもな」
・・・覚めるの、やだな。
「ま、いんじゃね?」
なんで?
「お前が起きるのを、誰かが待ってるさ」
・・・お前、俺に起きろって言ってねぇ?
「言ってるかもな」
・・・ひどい!!私との関係は遊びだったのね!?
「・・・キモイからヤメロ」
あ、ひどい。
「まぁ、起きてみろよ」
・・・・・。
「目を開けて、目の前を見てみろよ。お前が起きるのを待ってる奴がいる」
・・・お前予知能力持ってたっけ?
「夢なんだろ?気にするな」
ん~・・・あ゛ーもう。分かったよ。起きればいいんだろ、起きれば。
「ああ。・・・・・じゃあな」
じゃあな、じゃねぇよ。またな、だろ?
「そうだな。またな、拓夢」
またな。・・・・悠輝。
目に、暖かな光が差し込む―――。