多泣多笑。
「・・・僕のこと女の子ってすぐ分かる人、初めて」

暁が、心から感心したように呟く。

「・・・そりゃ見た目と声と、一人称が『僕』って部分から女にたどり着くのには、かなり時間がかかるよな」
「うん。だから、初めて」

拓夢は暁に、うんうん、と頷かれる。

・・・・なんで俺を珍しいものを見るような目つきで見るんだよ!?

ゴウッ・・・・・

強い風が吹いた。

「あっ・・・」

暁がバランスを崩し、落ちそうになる。

「っておい!!」

拓夢は、間一髪のところで支えた。

「・・・ありがと」
「どういたしまして。そして落ちそうになるくらいなら俺の上に座ってくれ」

拓夢は幹にもたれて座っているので、バランスを崩すことは無い。
もしバランスを崩してしまっても、うまく着地する自信があった。
・・・そして、自分のすぐ近くにいるものなら、支えることができる。

「・・・・・・・・」

・・・暁から『え~・・・』って声が聞こえてきそうだ。

「ほら」

拓夢は、足を枝の上でまっすぐ伸ばし、膝をポンっと叩く。

「・・・・どうやって?」

暁が首を傾げる。
・・・・問題は、そこか。

「こうやってだよ」

暁は枝の上でしゃがんでいたので、拓夢は落ちないように腕を軽く引っ張る。
そして、顔が真正面に見えるように向かい合わせにして座らせた。


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