多泣多笑。
「・・・・近い」

文句を言われる。

「でもこうしないと落ちるだろ?」
「・・・・・・」

暁は、拓夢の顔を覗き込んだまま動かない。

「沈黙はYesととるぞ、俺は」
「・・・拓夢はなんでここで寝てたの?」

っていきなり呼び捨てかよ!?
拓夢はびっくりした。今まで会った人は、『呼び捨てにしてもいい?』くらいは聞いてきたものだ。暁は上目使いで拓夢を見つめる。
・・・・俺も呼び捨てで呼ぶか。

「散歩してて暇になってこの公園に来て、なんとなく木に登ったら眠くなって寝た」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・なげーな、沈黙」

暁に長い間見つめられて、拓夢は少し恥ずかしくなる。
暁は、にっこりと笑って言った。

「拓夢は、きれいだね」

ズルッ

拓夢の手が木の枝から滑った。
暁は慌ててその手をつかむ。

「・・・ありがとう。でも普通男はその言葉を使われて嬉しいとは思わない」

今まで一度も言われたことがなかったので、テレる。

「・・・じゃあ、かわいい?」
「せめてカッコイイにしろよ・・・!!」

拓夢は握り拳を作って、笑顔で、言った。

「・・・全部?」

W(@□@)W わぉ♪
拓夢が変な顔になってる・・・・・・。
暁は多分無意識に、拓夢を観察していた。

「・・・きれいでかわいくてカッコイイのか、俺は」
「うん」
「・・・即答すんなよ」

この間にも暁は拓夢の頭をなでたり、頬をさすったりしている。

「なんで俺に触ってくるんだ?」
「・・・気持ちいいから」
「・・・・・・・・・そうですか」

困るだろーが、そんなこと言われたら。
拓夢は、ふと、空を見上げてみる。
青、白、・・・オレンジかな?
そんな色が、いつもある空。
どこまでも続いている、空。

「暁」
「何?」
「・・・・・とりあえず、ここで延々話すのもなんだから下りようか」
「わかった」

拓夢は、暁をずっと膝の上に乗せていた所為か、膝が痺れてきた。
暁は拓夢の膝から降り、木から飛び降りた。
拓夢も続いて、木から下りた。


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