いつか、また


確認するように紡がれるその言葉に花奈は頷く。


「機材はツテがあるし、それこそ照明・音響科の出番でしょ? ……けど、キャストは表現科の子が極端に少ないから・・・」


花奈が入会届を提出しに行った時、紹介ついでにサークルの説明を受けた。
メンバーの大半が2年のこのサークルで、表現・基礎科はたった10名程度だと言われたのを思い出す。


「あのね、修弥。わたし達だけならまだしも花奈はまだ1年なのよ? しかも、わたし達にとって最後の文化祭でいきなり創作なんて言われても、台本科だって困ってしまう」


今までずっと黙っていた希緒は壇上で仏頂面のままふたりを見詰める青年に話した。


「台本については、既に台本科の方から貰ってるよ。……希緒、ボクが無計画にこんな話をしてると思う?」


青年は真摯な眼差しで希緒を見詰め、今までの喋り方よりも真剣な口調で彼女に詰め寄る。


「ボクは、ボク達が最後『だからこそ』創作をやりたいって言ってるんだ」


「だから、それがワガママだって」


「希緒」


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