いつか、また
「じゃあ今日は解散。…みんな、気を付けてね」
文化祭の話し合い後、簡単な基礎練習と今後の活動の確認をしてその日はお開きになった。
「希緒と花奈は、少し残って・・・話があるんだ」
片付けをしていると不意に修弥に呼ばれ怪訝な顔になる希緒。そんな彼女を教壇に立つ青年は窘めるような目線でいなした。
「話ってなんですか?」
希緒と同じく修弥に呼ばれた少女は首を傾げ不思議そうに青年を見詰める。
「うん。……希緒と花奈には、せめて知っていて欲しいから」
ショートヘアの似合う女性は片付けを終えると、先程まで座っていた席に座り自分達の前に立つ青年を軽く睨んだ。
「言っておくけど、わたしは認めてないから」
修弥が口を開くよりも早く言うとそれっきり横を向いてしまう希緒。
「……やっぱり、希緒は認めてくれないんだね」
「当たり前でしょう!? ……演技の勉強ならこっちでも出来る、なんでわざわざ上京しないといけないのよ!」
声を荒げ今にも飛びかからんばかりに修弥に突っ掛かる希緒。
「わたしは嫌だよ。ねぇ、修(しゅう)考えを変えて?」
声は荒いままだったが、その眼差しは真剣そのものだった。