いつか、また
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文化祭の話し合いから暫く、花奈はバイトや検定が忙しくサークルに顔を出せていなかった。
「・・・なんか悩んでる?」
夏以来疎遠になっていた「cafeteria cherry blossm」のテーブルに座っていた花奈はその声に顔を上げる。
「……希緒、センパイ……」
「……向かいに、座ってもいい?」
少女は頷くとテーブルに広げていた雑誌や漫画を片付ける。そうして久しぶりに会う先輩を見詰めばつが悪そうに俯いた。
「もう少しで文化祭なのに、最近サークル来ないから……大丈夫?」
後半は俯いたまま顔を上げようとしない少女を不審に思ったのだろう、なにかを気遣うように言われ微かに頬が上気する。
「…………あの時は、ごめん……」
重い、永遠とも紛うような沈黙が訪れコーヒーメーカーと壁掛け時計の音だけがその存在を示していた。