いつか、また
「センパイは本当は優しくて誰よりもいちばん周りのことを考えてることを、私は知っています」
花奈は一旦、そこで言葉を切りタイミング良く運ばれて来た紅茶を口にする。
「・・・初めて、センパイに会った時、私とは真逆の雰囲気で正直苦手だと思っていました。けど、いつからかセンパイを見掛ける度に目で追うようになって、気付いたら好きになっていたんです」
桜の香りがする紅茶はどんな時でも彼女の心を癒してくれる。
紅茶に添えてあるサブレを手に取りそのまま口付ける希緒は水のように紡がれる言葉に反応出来なかった。
「センパイは優しい人です。だから修弥センパイのこともそんなに悩んでるのだと思いますし、自分自身の気持ちを認めたくないのではないでしょうか」
優しい、今まで言われたことのない言葉を言われ胸こそばゆくなる。
「・・・センパイ、私はセンパイ方の最後の舞台を最高のものにしたいと考えています」
真摯な眼差しで此方を見詰め、紅茶を飲む姿に希緒は息を飲んだ。