いつか、また
どのぐらい時間が経ったのだろう、おもむろに立ち上がった少女は伝票を持ってレジへと向かう。
「告白は聞かなかったことにして下さい」
花奈は自嘲気味に言うとふたり分の紅茶代を払って店を出る。お代を払っている間、少女は後ろに立つ女性を振り向かなかった。
「……じゃあ、またサークルで」
ありがとうございましたー、という店員の声が響き希緒はひとり取り残される。
「お客様・・・?」
訝しむような声に我に返った希緒は慌てるようにお辞儀をして店を出る。
「……わたしは……」
『聞かなかったことにして下さい』
そう言った時の寂しげな瞳が脳裏をよぎり、暫くその場から離れられなかった。