いつか、また
突然話題を振られて驚いたのか、花奈は勢い良く顔を上げた。
「……ねぇ、修? わたしも貴男に言わないといけないことがあるんだ」
先程までの気まずさはもう無く、青年は目の前に立つ幼馴染を見詰める。
昔は頼りなげに自分を見詰めていた少女は、いつからか自分の考えをはっきりと告げる、みんなから好かれる存在になっていた。
「いいよ。……希緒のことなら、なんでも聞く」
命に関わること以外ね、悪戯のように告げ希緒を見詰める。
「…………わたし、この少女(子)が好き」
一点の曇りもない声音で言うと、希緒は隣の花奈を見詰めた。
「貴男が上京する理由は、多分美香先輩の劇団で技術を学ぶため」
そこで言葉を切り、ゆっくりと息を吸う。そして次は隣に立つ少女を見詰めた。