いつか、また
「……いつ頃からかな、自分が鳥籠に捕らえられた鳥だと思うようになったのは」
「留菜・・・」
劇はクライマックスを迎え花奈と希緒は互いに見詰め合っていた。
「美玖は、ない? ……自分が、生きたまま糸に繋がれた操り人形だって感じたこと・・・」
「・・・」
修弥の一言で創作劇になった今年は、舞台演出や道具制作も全て希緒達が行った。
この「鳥籠の主」は、ごく普通の少女留菜(るな)と美玖(みく)の甘く酸っぱい物語である。
「あたしはね、美玖。……あたしは、鳥籠なんて嫌だよ。鳥籠にいるぐらいならあの大空に羽搏いて、自分の好きなことやって、そして、最期を迎えたい」
胸を張り、凜と澄んだ声で告げる姿は、いつかのように気高く、留菜ではなく希緒本人の言葉のように感じた。
「・・・わたしも・・・このまま飼い殺されるのはやだ。……でも、わたし達はまだ子どもだよ・・・?」
希緒の言葉に、留菜の想いに答えるように少女は言葉を紡ぐ。
「でも、・・・でも留菜が連れ去ってくれるなら、わたしは怖くない」
ひとつ呼吸をし希緒に近付く。すると、希緒は何か訴えたげな視線を向けた。