いつか、また
訥々と紡がれる言葉は静かに希緒達の胸に響き、希緒は目蓋を閉じて修弥の声に聴き入った。
「ボクは、本当は目立つのが嫌で、いつも人の影に埋もれて、こんな自分が嫌いで・・・でも、この学校に来て、このサークルに入って、希緒やプ……美香先輩に会って、少しずつ、本当に少しだけど、変われたように感じて・・・」
言葉を紡ぐ度に学校生活での様々なことが甦り、視界がぼやける。
「……ボクは今日、東京へ行きます」
涙が零れないように真っ直ぐに会場を見詰めて言うと、客席から微かなどよめきが広がる。修弥が言葉を繋げようと口を開くと
「本当はまだ認めてないんだけど……でも、貴男には貴男なりの考えがあるんだろうし」
「それに、修センパイがいなくても私達は大丈夫って、見せ付けたいですし」
舞台袖から出て来た主役達は言うと修弥からマイクを奪う。
「今日は修弥のため、そしてわたし達のために来てくれて、本当にありがとう!」
「ステージ発表はこれで終わりですが、外では沢山の屋台をやっているので是非楽しんで行って下さい!!」
総員集合、という声が響き舞台袖に控えていたメンバー達が集まる。
「ありがとうございましたっ!」
「「ありがとうございましたっ!!」」
客席からの喝采を受け、修弥達の舞台は幕を閉じた。