いつか、また
「それじゃ、今日の成功を祝って」
「「乾杯」」
文化祭の後片付けも終わり、希緒と花奈、修弥の3人は「cafeteria cherry blossom」を訪れていた。
「…………もう此処の紅茶を飲めないと思うと・・・残念だな」
桜のレリーフが刻まれたティーカップを撫で、名残惜しそうに告げる修弥。
「・・・そう言えば、花奈と初めて会ったのは此処だったよね」
修弥の呟きに頷きで応え、隣で俯いたまま黙り込んでいる少女へと話を振る。するといきなり話を振られて驚いたのか、花奈は勢い良く顔を上げた。
「希緒センパイがボールペンを拾って下さったんですよね」
「そうそう。……あれからもう半年経つんだなぁ、って思うと……。早いよね」
半年前の自分と今の自分を比べて、成長したところを探してみる。
「・・・この半年、色々なことがありましたね」
「ボクが見た感じだけど、花奈は入会した頃と比べるとすごく変わったと思うよ。・・・よく、笑顔を見せるようになった」
不意を突くように言った修弥の言葉に、少女は上げたばかりの顔を俯けた。