いつか、また


小さな瞳は微かな揺らぎを見せて、やがて決心したように少女は口を開いた。


「…………私の本心を知ったら、きっとセンパイは私を嫌いになります」


ひとつひとつ、噛み締めるように紡がれる言葉に潜む感情に希緒ははっとする。


「花奈。わたしが貴女を嫌いになったことなんてあった? わたしは、いつだって貴女の味方だよ。だから・・・」


「私は、本当は、………センパイを何処にも行かせたくないんです」


希緒の言葉を遮り、花奈は続けた。


「本当の私は、無邪気な幼子のように我儘で、周りを困らせることしか出来ない、嫌なやつなんです」


訥々と囁くような声は、いつしか泣きそうに揺らぎ、少女はそっと目を伏せる。


「・・・私は、ただの子どもなんです・・・」


「っ・・・!!」


その言葉に、気付けば希緒は少女の頬を張っていた。


「……そんな・・・そんなのっ、貴女の思い込みじゃない!! わたしが貴女の我儘を受容出来ないほど狭量だと思った!? そんな生半可な気持ちで、わたしは貴女と付き合っているとでも思っていたの!?」


今まで溜めていたものを吐き出すかのように、希緒は激昂する。それでも止まらない言葉の波に、彼女は訳もわからず叫び続けた。


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