いつか、また
「……お願いだから、わたしの前では自分の感情を隠さないで頂戴・・・」
漸く落ち着いた希緒は、張ってしまった少女の頬を撫でる。
「……ごめんなさい。感情に任せて、最低なことを」
赤くなった頬は微かな熱を帯び、少女は俯いたまま肩を震わせた。
「……ごめんね、花奈・・・」
しゃくり上げるような嗚咽が響き、そんなに強く叩いてしまい加減が出来なかったことを激しく悔やむ。
「……ねぇ、花奈。わたし、貴女に会えてよかったって、本当にそう思ってるよ」
釈明にもならないようなことを、希緒は続ける。例えそれが自己満足だとしても、今日を逃せば、もう二度と少女と話せない気がした。
「貴女に会えたからだよ。プ……美香さんのところで演技を学ぼうと思ったのも、舞台に立つのが楽しいと思えるようになったのも・・・」
「……」
肩を震わせまま顔を上げようとしない少女に、希緒は独白を続ける。
「だからね、さっき貴女に「行きたいなら行くべきだ」って言われて、少しだけど傷付いた。気付けばこんなに愛しくなっていたのに、わたしだけが貴女のことを好きだって思ってるように感じて、それで・・・」
「そんな訳、ありません・・・っ・・・!!」