いつか、また
「……やっと来たわね」
入場ゲートを潜り、手荷物検査を終えた花奈は最愛の人が運転する車の中で微睡んでいた。
「花奈、眠いなら寝たらいいよ。……式が終わってすぐに来たから疲れてるでしょ?」
青年の労るような声に、少女は隣に座る青年に凭れる。
「……姫、センパイ・・・」
「いいから、今は寝なさい? ……貴方の家に着いたら、たっぷり話すから」
2年振りの再会を果たした彼女達は再会の挨拶もそこそこに少女が暮らすアパートに移動することになった。
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
言うが早いか、すぐに眠りに着いた少女に青年は着ていたパーカーを被せる。
気持ちよさそうな寝息を立てて眠る姿は、今まで頑張って来たことを如実に物語っていた。
「……じゃあ、花奈の部屋に着いたらボク達はお暇するね」
「うん、ありがと」
「お礼なんていいわよ。私達と貴女の仲じゃない?」
ロングヘアの女性の言葉を受け、運転席の女性は微笑む。最愛の人が此方に来た時、自分が案内をしたいという思いで取った免許はダッシュボードの中に、大切に閉まっている。
「……もうすぐかな」
「ボクが花奈を運ぶよ」
お願い、言うとアパートの前に車を止め持っている合鍵で扉を開ける。
「じゃ、ボクらはこれで」
ぐっすりと眠る少女をベッドに寝かせた青年は免許と封筒をショートヘアの女性に渡し、ロングヘアの女性とともに部屋を出た。