いつか、また
少女が目を覚ましたのは、もう時計の針が深夜を指した頃だった。
「・・・ん・・・?」
「おはよ、花奈」
寝惚け眼の恋人に口付けをし、座卓に置いていた紅茶を口にする。
微かに桜の香りがするそれは少女が落とした封筒の中に入っていたものだ。
「……希緒、センパイ……?」
まだ夢の世界から戻っていない彼女は不思議そうに女性を見詰め、再び眠りに着こうとする。
「ち、ちょっと待ちなさい」
布団を目深に被った少女の腕を掴み、目を合わせる。すると最後に別れた時から変わらない瞳が、此方の瞳に映った。
「・・・センパ・・・」
「おかえりなさい、花奈」
なにかを言おうとした唇は希緒のそれに塞がれ、ふたりは2年振りの口付けを交わした。
-the End-