いつか、また


「よく「はな」って読まれるんですけど、本当は「かな」なんです」


少しはにかみながら言うと感心したように頷く希緒。


「かな、かぁ……うん、いい 名前だね」


しみじみと言うその姿はとても大人びていて、花奈は一瞬見惚れてしまった。


「・・・きおってさ、なんか男みたいじゃない? しかもわたし、見た目がこれだからさぁ、よく男に間違われるんだよね」


軽く笑って「慣れたけどね」と言う女性は、青空のように澄みきっている。


「でも、こんなところで会うなんて偶然だねぇ・・・。……この間のボールペン以来もう会うことはないって思ってたからさ」


ボールペン、そう言われて花奈ははっとしたように希緒を見詰めた。その視線に彼女は一瞬困惑の色を浮かべたが、すぐに思い出したような声を上げた。


「そう言えば、あの時は名乗らなかったね」


希緒は世間話でもするかのノリで言うと花奈を見詰め、悪戯のように笑う。


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