いつか、また

***



「あれ、花奈じゃない?」


それから暫く、文化祭の準備のためにサークルを覗くと聞き覚えのある声が背後から響いた。


「き、希緒センパイ……!」


ショートヘアの似合う彼女は不思議そうに首を傾げると当たり前のように練習室へ入る。


「・・・希緒、遅い・・・」


「ごめんごめん、先生に残らされててさー」


サークル長である修弥(しゅうや)センパイは無粋そうに言うと、入り口で立ち往生する花奈を手招きした。


「新しく入った花奈ちゃん。………よろしくな」


それだけ言うと教卓に戻ってなにかの資料を配る修弥。


「・・・へぇ。花奈、うちのサークルに入ったんだ?」


1年は文化祭までにサークルに入会することが絶対になっている彼女達の学校は、サークル毎の発表が文化祭で行われる。


入学当初、パンフレットで演劇関係のサークルは此処しかないと知った花奈は、入学後オリエンテーション後すぐ入会届を提出した。


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