プリンセス☆ロード
「なんでもない」
「・・・なんでもないって顔じゃないだろ?」
「ほっといてよ」
思い出したくない。
昔のことを思い出したことも、美由紀にひどい態度を取ってしまったことも。
「ほっとけるかよ」
「・・・浩太?」
突然掴まれた腕。
私は驚いて顔を上げた。
真剣な瞳の浩太と目が合う。
不覚にも、ドキッとしてしまった。
浩太は、気が合って何でも言い合える気心の知れた友達。
異性だけど、まるで女友達のようになんでもぶつけ合える。
「紗南!」
その空気を消したのは、私を追いかけてきた美由紀の声だった。