プリンセス☆ロード
「紗南に謝らなきゃいけないのは俺たちの方だ」
「え…?」
「紗南に、一生消えない傷をつけてしまった」
そう切り出したのはリュウ。
また、レンみたいに城に戻れと言われるのか、と身構える。
結局あれからレンは病室に姿を現していない。
ソウシの話では、何かを払拭するように悪魔について調べまわっているらしい。
「消えない傷なんて…、平気だよ。お医者さんにも傷跡は残らないって言われたし」
「違いますよ。身体の傷もですけど…、心の傷を言っているんです」
「心の…?」
「死の恐怖を感じた心の傷は、とても深いはずです。僕たちは、そのことを一番心配しているんですよ」
「そんな…平気だよ…。私、ちゃんと笑ってるでしょ?」
確かに怖かったし、死にたくないって思った。
でも、ちゃんとみんなが助けてくれた。
だから、もう平気なの。
「紗南さんがいくら口でそう言っていても、一度感じた恐怖は簡単には消えないはずです。この先、また危険に立ち向かった時、その恐怖を思い出してしまうかも…。それが、悔やまれるんです」
「本当にごめんね!もっともっと俺たちがちゃんとしてたら…。紗南ちゃんをこんな目にあわせずに済んだのに…」
「俺たち、もっと強くなる。紗南をちゃんと守れるように。だから、俺たちの側にいてくれ」
「…みんな」
側にいて、いいの?
私、足手まといじゃない?
一緒に旅していても何もできない。
役になんて全く立ってない。
それでも、側にいてと言ってくれるの?
「ありがとう…。私、皆と一緒にいたい。みんなの側にいたいよ」