プリンセス☆ロード
「うわあ!」
そんなこんなでたどり着いたエリシアの町は賑やかというよりは穏やかで優雅な町と言った方が正しいのかもしれない。
綿の生産が盛んなためか、色鮮やかな布が店先や家のあちこちの装飾につかわれている。
路上で広げられている露店には布地でできた小さな置物が置いてあったり、頭につける装飾品がたくさん売っていた。
どれもかわいらしいものばかり。
「ゆっくり見せてあげたい気持ちはあるのですが、まずは城に急がせてください」
「あ、ごめん!うん。お城に急ごう」
ソウシが申し訳なさそうに言うのにハッとして前を向く。
いけない、また本来の目的を忘れるな!ってレンに怒られるところだ。
「でも、素敵な町ね」
「ええ。きっと時間はできますから、ゆっくり観光しましょう」
「ほんと?わぁい!」
「ソウシは甘やかしすぎだ」
喜ぶ私に水を差すのはもちろんレン。
いいじゃない、少しくらい。
なんて、この前の町で足止めしちゃった私が言うことじゃないけどさ…。
「少しだから、ね!」
「…ふん」
まったく。
でも、きっと私が観光に行ったからって、置いて行ったりはしないんだ。
口では文句を言いながら、私の思いも尊重してくれようとする。
そんな人なんだろうと、思う。
…たぶん。
まぁ、それなら素直に送り出してよ、とも思うんだけど。
皆に言わせれば、それがレンなんだから仕方ない。