プリンセス☆ロード





「失礼いたします。セリムさま。ルネス国からの客人をお連れいたしました」

「ああ。ご苦労だった。お前たちは下がってよいぞ」









中まで案内されると、そこは会社で言う社長室のような場所だった。
ルネス王国で王様に会ったあんな広間のような場所ではなくて、大きな窓に向かって大きなデスクがあって手前にとっても立派な椅子がある。
壁は一面に本棚で、前面にぎっしり書物が収納されていた。

奥の立派な椅子の向こうから少し低いビシッとした声がする。
椅子の背もたれに隠れて人の姿は見えないけど、きっとその椅子に王様が座っているんだろう。



一気に緊張感が私の中で走った。
ウイリアム王と対面した時のようなびりっとした空気。
若い、とはいえ一国をまとめる王様なんだもん、とても厳しい方なのかも。









「それでは、失礼いたします。何かあれば、およびください」

「ああ」








家来の人がいなくなると私たちと、王様だけになる。
ゆっくりと椅子が回転し次第に王様の姿が露わになっていった。




(うわぁ)





思わず口をついて出てしまいそうになった感嘆の声を手で塞ぐ。
それほどまでに、美しい、その言葉が似合う風貌だった。



真っ黒な長髪。
長髪の男なんてありえない!っていう私だけど、この人なら許せてしまうかも。
どちらかと言えば中世的な顔と言えるのだろうけど、切れ長の瞳が男らしさを演出している。





めちゃくちゃ、かっこいい!






いや、レンたち騎士のみんなも十分にかっこいいと思ってたけど。
タイプの違うカッコよさというか、綺麗さをまとったかっこよさなの。





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