プリンセス☆ロード
「…相変わらずだね、レンは」
「なにが言いたい」
先ほど部屋を飛び出していったレンは再びセリムのもとを訪れていた。
椅子に座るセリムと、窓の側に立つレン。
「好きなんでしょ?彼女のこと」
「…!誰が、あんな女らしさのかけらもない奴なんか」
「だから、相変わらずだって言ってるんだよ」
呆れたような口調のセリムに少しムッとした表情を向ける。
セリムは全く動じていないように笑うと開いていた書物に視線を戻す。
全てわかったようなセリムがレンは少し苦手だった。
わかったような、いや、本当にわかっているから余計に苛立つ。
それ程、二人は昔からの仲だった。
「知らないよ、嫌われても」
「…うるさい」
「いいの?また、言われちゃうよ?」
セリムの声が真面目なトーンに変わる。
「君なんて、いらない……って」
ガシャン!
レンが力強く振り下ろした拳が窓際に置かれていた陶器のランプにぶつかり音を立てて割れた。
ガラスの破片で手を傷つけたレンの手からは血が流れる。