プリンセス☆ロード
「少しでも、私が羨ましいと思うなら、もう少し素直になることだね」
「…だから、別に俺は」
「そうか、素直になる前に、お前は鈍感だったのか」
「は?」
「はたから見れば丸わかりなのにな。まぁ、そうだね。自分で気づいていくのもいいんじゃない?」
セリムはそう言うと開いていた書物を閉じ立ち上がり、本棚にしまう。
「…でも、あまりおちおちしていると、私がもらってしまうからね」
「…なに?」
「彼女、いい子そうじゃないか。純粋で、まっすぐな瞳をしてた」
「…!冗談はほどほどにしておけよ」
「本気だよ。もっと、彼女の事知りたくなった。本当に、貰っちゃうよ?」
セリムはまっすぐレンの瞳を見る。
その瞳は、真剣そのものだった。
レンは、口ごもると舌打ちをして部屋を飛び出した。
「やれやれ…。手のかかる奴だ」
その背中を見つめ、セリムがそう呟いた。