プリンセス☆ロード
「私が、王様のところにですか…?」
「セリム」
「え…」
「私の名前は、セリム」
「セ、セリムさま…」
まっすぐ見つめられると、引き込まれそうになる。
でも、どこか寂しげな瞳をしている気がした。
なにが、そう思わせるのかはわからないけど。
「さまなんて、つけなくていいよ」
「でも、王様ですから…」
「…レンは呼び捨てにするのに」
「え?だって、レンは…」
レンとセリムさまとは立場が全然違う。
それにレンは、一応仲間、だし…。
「レンを呼び捨てにするなら、私の事もセリムって呼んで」
「え…、でも…」
「私がそれでいいって言ってるの。問題ないでしょう?」
「セ…セリム…」
「ん?」
根負けして私がそう呼ぶと、子犬みたいに嬉しそうに笑った。
キレイ、と思っていたけど、かわいい、のかもしれない。
「セ、セリムとレンは仲が悪いんですか?」
「ん?そう見える?」
「わからないけど、…レンはセリムが苦手だって」
「私がなんでも見透かしてしまうから、レンは私が怖いんだよ」
「怖い…?」
レンに怖いものなんて。
いつだって強くて、逞しくて。
俺様で、口が悪くて。
怖いものなしに思えた。
確かに、怖いものがない人間なんて、いないだろう。