プリンセス☆ロード
「自分の心を見透かされるのが、怖いんだ。あいつは、辛いも悲しいも、悔しいも、人に見せるのが苦手だから」
「…」
「でも、私はそれを見抜いてしまうから。そして、見抜いたらそれを言わずにはいられない。言われると、気づいてしまうからね。自分が逃げていた心に」
見ないようにしてきた心。
深く深く奥底にしまって、ふたをした思い。
苦労してしまった思いをいとも簡単に引き出される。
それはどれほど、心が乱されるだろう。
「あれは、人一倍傷つきやすいくせに、弱さを見せることは負けだと思っているからね」
「レンが…?」
「口が悪いのも、虚勢を張るのも、弱さを隠すためだよ。見栄を張って、強くみせようと。傷つきたくないから。傷つくのが、怖いから」
傷つく前に、相手に壁を作ってしまえ。
弱さなんて、見せる隙を作らない。
心なんて、絶対に開かない。
そう、言われている気がした。
「だから、驚いたんだ。久しぶりに会って、少しレンの気が穏やかになっていてね」
「穏やか…ですか?」
「昔はもっと、刺々しかった。…特に、あの頃は…」
なにか、遠い昔を思い返すように空を見上げる。
空には、星がちりばめられている。
月のない星空にも、慣れた。
この空を見るたびに、ここは私の住み慣れた世界ではないと思い知る。
「いずれは、元の世界に戻る身なのだろう?」
「…え?」
セリムが静かにそうつづけた。