プリンセス☆ロード





「君が旅についてきている理由は、この世界を守りたい、その気持ち以上に一人になりたくないって気持ちが強いんでしょう?」

「…!」

「私はね、生まれてから、いろんな聞きたくもない戯言や、陰口たくさん聞いてきた。本来なら聞かないようにするんだろうけど、神様は意地悪だね。私は見たくないものまで見えてしまうんだよ。聞きたくないことまで聞いてしまうんだ」





見たくないものまで見え、聞きたくないことも聞こえてしまう。
それは、とても残酷な能力のように聞こえた。






「聞きたくもない見たくもない、人間の黒い部分をたくさん見てきた。だから、私はこの世界になにも感じなくなった。興味も、やる気の類もなにも感じなくなった」

「…」

「でもね、君には興味がある。異世界から来た君が、レンの心を掴んでいる。絶対にありえないことだと思っていたことが、ありえている。だからこそ、怖いんだ」






セリムの話が私には理解できなかった。
レンの心を私が掴んでいるだとか。
それが、絶対にありえないことだったとか。

私一人置いてけぼりだ。







「君ひとりの動向で、レンの心は簡単に壊れてしまうから」

「ちょっと待ってください。意味が分かりません。レンの心が壊れてしまうとか、飛躍しすぎです」

「レンは、傷つかないと?レンは鋼の心を持っているとでも?」

「そう言うわけじゃ…」

「あなたは一度、悪魔の手に落ちていますね?」

「…!」

「そして、身体にも心にも深い傷を負った」






ドキリと胸がなる。
思い出して冷や汗が出た。







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