プリンセス☆ロード
「私に、用でしょう?」
「…はい」
「私も、君に話したいことがあるんだ」
皆が各自休養を取るため部屋に戻った後、私はセリムのもとを訪ねていた。
王様の任が忙しいかと遠慮がちに尋ねたけど、セリムも私に用があるとすぐに通してくれた。
「この前、私が話したことでしょう?」
「はい。…セリムが言っていた通りになってしまって、私、本当は心のどこかでそんな不安はあった…でも、セリムに言われても、気づかないふりしてた」
「人間なんてね、そんなものだよ。実際そうなってみないとわからない」
でも、この世界ではいけなかった。
だって、ここでは命がかかってる。
あとから悔いたって、今回みたいに次気を付けようなんてならないことだってある。
側にいてほしいと願うなら、それなりの覚悟が必要なんだ。
そのことに、私はようやく気付いた。
平和ボケした私は、悲しいけどこうならないとわからなかった。
このままじゃダメなんだ。
私が、変わらないと。
「こんな私のまま、皆の側にはいられません」
「それでも、側にいたいと願うんだね」
「…はい。だって、この世界のよりどころだから。みんなが、こんな、どこの誰かもわからないような私を受け入れてくれたから」
異世界から来た自分。
そんな異端なもの、できるなら近づきたくはないだろう。
自分の常識から外れたものを避けてしまうのは当然のこと。
それでも、皆は一度も嫌な顔一つせず側にいてくれた。