プリンセス☆ロード




「少し、昔話をしてもいいかな?」

「…はい」





そう言ってセリムが話し始めたのは、エリシア王国の過去。
ルネス王国との因縁の過去…。





「先代の王…まぁ、私の父だね、その王がこの国を治めていたころの話…」

「はい」

「先代の王は、すべてを自分の手にしたい人だった。地位も名誉も、金も…あらゆるものすべて」





欲の塊、幼い自分は幼心にそう思っていた、そうセリムは続けた。
話し始めたセリムがとても苦しそうで、心配になった。
思い出したくない過去なのではないか?
そんな話を、どうして私にしてくれるんだろう。






「王は、その欲望のままに、本当にあらゆるものを手に入れて来たよ。早くに先々代の王から王位を受け継ぎ、王という地位を手に入れ。金も国民から搾りとって…。国は、ボロボロだった。国も、人も、すべてが…。私は子供だったけど、その有様が異様だとわかってしまった」

「…」

「でも、私は口答えを許されなかったよ。父は、将来のため私を育てたけど、きっと心の中では、王位なんて譲りたくはないと思っていたと思う」

「そんな…」

「いつまでも、ずっと、自分が王位にいてこの国を牛耳りたいと思っていたさ」






欲望のままに。
それが、どれほど非道でも。







「その王の非道さは、おさまることを知らず、目に見えてひどくなっていた」







セリムが、私が座っていたソファの前のソファに腰を下ろす。







「でも、父にもどうしても手に入れたくても入れられないものがあったんだ」







話が少しずつ本題に入っていこうとしていた。







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