プリンセス☆ロード



「他国の王たちは反対したよ。当然だよね。この世界は、国同士の争いを禁じている。武器はあくまで悪魔退治のためのもの、その矛先を他国に向けてはいけないと。その条約を破った王の血筋の者に王位を継承するなんてもってのほかだと」

「…うん」

「当然だよね。でも、その時でさえ、王様は私をかばってくれた。力強く、私を認めさせようと働いてくださった。だから、私は今こうしてこの国の王をしている」

「…っ。セリムさんが頑張ってきた結果が、今のこの町なんですね」





泣くな。
同情なんて、嬉しくない。
そう思っても、涙が溢れて止まらない。






「私、この町に来て、本当にいい町だなって思ったんです。セリムに会って、ああ、この人が王様だからなんだなってすごく納得しました。きっと、皆、セリムが王様でよかったって思ってます」

「…ありがとう」




ああ、もっと勉強しておくんだった。
もっとうまく励ます言葉がほしい。
伝えたいことはあるのに、うまく言葉にできない。




「君は、優しいね。人のためにそうやって流せる涙を持ってる」

「私は優しくなんてないですっ」





自分勝手でわがままで。
役立たず、だ。







「だから、私はルネス王国の王様には頭が上がらない。今でも、感謝してるし、感謝してもし足りない」

「王様の優しさには、私も触れたんでわかります」





とても大きな懐を持った人だ。
自分の親が殺されたというのに、加害者の子を寛大な心で受け入れ、そのうえ力添えまでするなんて。
なかなかできることじゃない。







 
「…ここからが、本題なんだ」

「え?」

「父が、ルネス国から奪った文献。…実は一度返しに行ったけど、それはもう私のものだと突き返されて、ここに在るんだ」

「え…?」

「救いの姫に関することは、王位を継承するときに伝えられると聞いたことがあるから、この文献の中の事はきっと、王様も知らない。さっきソウシの話で、その確信も得た」

「確信…?」

「その文献に記されているのは、救いの姫が手にするというそのネックレスの事についてだ」







私はハッとして、首にかかるネックレスに触れた。






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