プリンセス☆ロード
「紗南ちゃん!」
部屋がある廊下をトボトボ歩いていた時、ふいに呼びかけられた。
振り返ると、ミナト。
「あ、ミナト」
「よかった、会えた!」
「…どうしたの?」
「最近、部屋に行ってもいないしどうしたの?」
そうだ、最近ずっとみんなに会ってないし部屋にもいなかった。
部屋を訪ねてくれていたんだ。
「ごめんね、何か用だった?」
「え…?いや、用とかじゃないけど…」
「そっか…。あの、ごめんね、私ちょっと疲れてて…。部屋に戻ってもいい?」
私がそう言うとミナトは少し戸惑ったような態度を見せ、少しして「わかった」といって別れた。
そんなミナトを背にぐったりした身体を頑張って動かしながら部屋に向かった。
一刻も早くベッドに横になりたい。
連日の練習で、体力は確実に削られていた。
そんな私の背中を、ミナトがずっと見つめていたなんて知る由もなく…。