プリンセス☆ロード
「すぐに部屋に戻るって行っちゃってさ…」
「そんなことが…」
「俺、なんかしたのかな…。紗南ちゃん、俺に愛想尽きたのかな…?」
「そんなことはないと思いますよ。何か、わけがあったんでしょう」
どんなわけが。
今までの紗南を見ていて、考えられない。
気が強い方だが、いつだって優しく笑って側にいてくれた。
「…俺、黙っとこうと思ってたんだけどよ」
思い立ったようにリュウが話し出す。
「昨日、見ちまったんだよ。紗南がセリムさまと二人で武道場から出てくるところ」
「セリムさまと?」
「…まぁ、いろいろとよくしてくれてるし、何かあるわけじゃないと思うけど、その話聞いてちょっと気になって」
気になりだしたらきりがない。
「紗南ちゃん、ここに残るとか言い出したりしないよね!?」
「ちょっと待ってください。いくらなんでもそれは…」
「でも、紗南が決めることだからな」
不安は渦を巻いてどんどん大きくなっていく。
ここで話していたって真実はわからないのに。