プリンセス☆ロード
「レン、どうすんだよ。紗南ちゃんがここに残るって言ったら!」
ミナトがレンに詰め寄る。
「…俺には関係ない」
「関係ないって!そんなわけないだろ!柄にもなく体張って助けたくせに!」
「それは、あいつが国にとって必要な人間だからだ」
冷たく突き放す言い方をするレン。
いつものことながら、いつにも増して苛立っているように思えた。
素直になれないレン。
それは誰しもがわかっていた。
「そうやってレンが素直にならないからいけないんだ!だから、紗南ちゃんだって愛想尽かしてセリムさまのもとに行くんだ!」
「ミナト、やめなさい」
「やめない!紗南ちゃんは、あんなに取り乱すくらいレンの事思ってくれてたのに!レンがそうやってはっきりしないから紗南ちゃんだって!」
「黙れ!」
レンが怒鳴り上げ、ミナトを静かにさせる。
ミナトは、瞳をうるませながら拳を握ったまま立ちすくむ。
「俺たちは、別になかよしごっこをするために旅をしてるんじゃないんだ。あいつがいてもいなくても、なにも変わらない」
「レン!」
レンは、そう言うとベッドから降り、部屋を出ていってしまう。
まだ動いていい身体ではないのに。
傷口だって、完璧に塞がったわけではないのだ。