プリンセス☆ロード
「いた…、あ、あの…大丈夫ですか?」
私にもたれかかったまま倒れ掛かるその人に押しつぶされないように体に力を入れて支え起こしながら顔を覗き込む。
「…レン!?」
それは、まぎれもなくレンだった。
どうしてこんなところに?
セリムの話ではまだ動き回れる状態ではなくて絶対安静だって。
それなのに…!
「なにしてるの!?レン。部屋に戻ろう?」
「…ッ。紗南…」
「え……」
紗南…。
レンに名前を呼ばれた。
いつも、お前とか、あいつ呼ばわりだったのに。
「…レン…?」
どうして名前を呼ばれただけなのに、こんなにも胸がドキドキするの?
「どこにも行くな…」
レンの手が私の背中に回され、強く引き寄せる。
レンの腕の中にすっぽり収まる私。
レンの心臓の音まで聞こえてしまうほど…。